ルカ・グァダニーノ監督の『君の名前で僕を呼んで』。観たことある人も多いのでは?美少年エリオ(ティモシー・シャラメ)とオリヴァー(アーミー・ハマー)の男性同士の恋模様を描いた、イタリアが舞台の美しいお話。以前『モーリス』という同性愛の映画を撮ったジェームズ・アイヴォリーがプロデューサーということでも注目されました。
この映画をご覧になった方に、「この映画の中で印象に残ったことと言えば?」と聞くと「アプリコット」と答える人も多いと思います。それくらい印象に残ってしまう「アプリコット」。
(勘の良い方はお気づきかもしれませんが)なんと辞書で調べてみると、アプリコットは「両性具有であり、その形から女性的意味合いを持つことがある」と出てきます。庭でアプリコットを栽培し、それをもぎ取りジュースにするシーンや、雨の日も風の日もアプリコットが映し出されるその背景には、LGBT的な意味合いが隠されていたと言えるでしょう。もしかすると、今回オリヴァーと出会い初めて男性を好きになったエリオは、ゲイという括りではなく「パンセクシャル」(性にとらわれず好きになった人のことが好きな人のこと)とも言えるのでは?
また、この映画中に原作者のアンドレ・アシマンが登場していることをご存知ですか? 彼はエリオの家にやってくるゲイカップルの1人として登場します。
そして続編 Find Me も出版されましたね。これはエリオの父親が語りとなっていて、彼らのその後を描いています。
『君の名前で僕を呼んで』は私自身、作品に惹かれ卒業論文でも扱ったので思い出深い作品です。木漏れ日の下で、本作のサウンドトラックを聴いてみるのが特に好きですね。