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今回はドラマ「ギルモア・ガールズ」(全7シーズン)で感じたことをまとめてみようと思います。雰囲気と空気感が私の好みに合いそうだなと思って観始めたこのドラマ。『レディ・バード』のような母娘のリアルな関係性が描かれているストーリーが好きなので、のめり込んでいき、あっという間に見終わってしまいました。

ギルモア・ガールズ <1分間でわかるシーズン1のあらすじ>

ギルモア・ガールズとは?

16歳のローリーと32歳のローレライ、その(ほとんど)中間の年齢の私にとって、どちらの気持ちも共感できる物語。あらすじは下記の通り。

コネチカットの田舎町を舞台に、しっかり者でシングルマザーのローレライと、頭の回転が速く有名大学進学を目指す娘のローリーが織りなす心温まる家族ドラマ。(Netflixより)

このドラマには3世代に渡る親子の関係性が色濃く、かなりリアルに映し出されています。それぞれ性格にも難しいところがあり……仲たがいをしてしまうことも。3人それぞれの性格や特徴を分析してみました。

16歳のローリー恋愛と成長の物語

今回分析するのはローレライが16歳で生んだ愛娘・ローリーについて。頭が良く、小さい頃からハーバード大学に行くこと夢見てきた普通の女の子。ローレライが価値観が合わない親の元を離れて以来、母娘二人三脚で歩んできました。

物語は彼女が高校を転校するところから始まります。ローリーはハーバードに近づくため、名門私立高校を受験し合格したのですが、ローレライには学費を払う余裕がなく、年に一度会う程度だったギルモア家との取引がスタートします。

ギルモア家はかなりの資産家。ローレライは今まで彼らのお金に一切頼らず生きてきましたが、娘のために一大決心をして両親に頭を下げます。するとローレライの父リチャードと母エミリーは“毎週金曜のディナー”を条件に学費を援助することを約束。今まで縁のなかったローリーと祖父母が近づくきっかけにもなったのでした。ここで重要になるローレライとエミリーの関係については、別記事でまとめようと思います。

さて、本が大好きなローリーは勉強はもちろんですが、初恋をしたことで大人への階段を少しずつ上っていくことに。初めての彼氏ディーンに「I love you」と言われて戸惑ってしまったり、ディーンとジェスという二人の男の子の間で揺れる様子はどうももどかしく……。「そんなことしたらディーンが嫉妬しちゃうよ、やめて~!」と思わず視聴者ながらローリーの後先考えない行動に口を出さずにはいられません。

大学生になったローリーの目の前に現れる、大富豪のチャラ男・ローガンは、一見女遊びをして層に見えますが、ローリーを見つめる目が優しすぎて(演技だとしても)本当に愛し合っているんだなと思わされます。彼らのバトルは↓動画が分かりやすいです。(ネタバレ注意!)

Battle of the Boyfriends: Gilmore Girls | Netflix

私は「シーズン2以降、ローリーは最悪になる」という口コミをどこかで読んだので覚悟して見続けました。ただ、大人になった今の私が見ると、ローリーは自分の心に従って動いてしまっているだけで、噓がつけない純粋な女の子であることが浮き彫りになってきました。10代の私なんて、もっと常識はずれな行動をとっていたと思います。その点、ローリーはしっかり“子供”で、それが言動によってよく描き出されていると感じました。

続いて、もう少しローリーにフォーカスを当てて考えてみます。

ローリーらしさを引き出す母親と二人の親友

一方、親友のような母親・ローレライの恋愛を何度もそばで見てきた彼女は、ローレライが悲しんでいる時には寄り添ってくれる優しい女の子。ちょっぴり抜けているローレライに喝を入れたり、はっきり気持ちを伝えていたりするのを見ると、この母娘のバランスが二人の楽しい生活を保っていたんだと思わされます。

また、ローリーらしさを引き出してくれるのは、彼女のベストフレンドであるレーンとパリスです。

レーンはローリーの幼馴染で、ローリーがローレライに話せないことも話せる本当の親友。レーン自身も、まるでローレライのように、全てを抑圧してくる過保護な母親から今すぐ逃げたいと思っており、反抗してロックの世界に浸っていきます。

転校した高校で出会うパリスは、最初は学園ドラマによくいる、取り巻きを携えたいじめっ子のような立ち位置でした。しかし話が進むにつれて、家族とうまくいっていないことや、取り巻きたちとも心から楽しめていないことが明らかになっていきます。大学生になっても独裁者のような自我の強さは全く消えませんが……その強さで時にローリーの盾となってくれるのです。大親友のようにベタベタしすぎない、いい距離感で、「ギルモア・ガールズ」の世界観に破天荒なスパイスを加えてくれます。

このドラマは、隅々まで“家族”というもので構成されており、さらにそれぞれの悩みが誰もに当てはまるような、微妙に違うものばかり。レーンとパリスの家族関係にも注目してみてください。

Top 10 Gilmore Girls Moments

誰もがぶち当たる、社会に出る不安

最終シーズンに突入すると、いよいよローリーは大学を卒業することになります。高校時代の彼女の姿から見守ってきた視聴者としては、新たな人生のステップを踏み出す様子を親のように見てしまうでしょう。

ローリーは今までしっかり勉強して、パーティーも楽しんで、新聞部の編集長をやって、インターンもして、(一時期グレて大学を休学したことを除けば)かなり充実した大学生活を送ってきました。勉強が好きな彼女にとっては、天国のようだったに違いありません。しかし卒業はやってくるもの。友達と遊んでいる時に、急に将来への不安が襲いかかり、涙を見せます

このシーンでとても胸が苦しくなりました。学生という守られた、ある意味無責任でもある立場から押し出されてしまうような気がしたことが、私にもあったからです。きっとみんな顔に出していないけれど、そう思っていた人も多いのではないでしょうか。そういった人生の中で必ず起こる、小さな心の動きを掬い取ることが上手なドラマだなと思いました。

完璧なハッピーエンディングではない世界線

名門私立高校に通い、ハーバード大学に合格したけれどイェール大学に進学、ヨーロッパ周遊に行ける財力があり、容姿端麗。大学の新聞部では皆に慕われて編集長になり、リッチな彼氏もいて、地元のみんなからも愛されているローリーは、ここまで十分恵まれた生活を送ってきました。しかし、そんな彼女に社会は冷たく、彼女は望んでいた新聞社から内定を得ることができないという現実を突きつけられます。

物語の終わりならば、無事に大手新聞社に就職が決まったローリーを、ローレライやエミリーたちが笑顔で送り出すハッピーエンディングにしても良かったと思います。それでも、最後まで現実味を忘れることのなかった作り手たち。ローリーは“ウェブマガジンでの執筆”を急遽請け負うことになります。チャンスを手放してしまって後悔していたローリーは、そのチャンスをものにしますが、3日後に町を出ていかなければならなくなりました。

もちろん、現実世界で大手新聞社に就職できる人は一握りでしょうから、きっとウェブマガジンやその他の媒体で成果を上げて、ジャーナリストとして仕事の幅を広げていく人も多くいるに違いありません。一歩、その世界に足を踏み入れたという意味では、ハッピーエンディングではあるけれど、人生望んだ方向に行くことは容易ではないということを教えてくれているような気がしました。

数年後のローリーは?

2016年にNetflixで配信されたアフターストーリーでは、ローリーとローレライの10年後が描かれています。

ローリーは「ニューヨーカー」に寄稿するジャーナリストになっていました。しかしまだまだ、急にボツになってしまう記事もあったりと、一流の域には達していないようでした。本の執筆の話も進まず、また地元に戻ってきたローリーは、地元新聞の存続のため、急遽編集者として働くことになります。そして、ジェスの助言もあり、自分と母親の人生を本にすることを決意するのです。

シーズン7が現実的な終わり方をしていたのに対して、アフターストーリーは上手くまとまり、これからのローリーの人生も希望のあるものになったようです。歴代の彼氏も登場して、ファンの心もしっかり掴んでくれました。

最後に

もしかすると、そういった感情を持たずに生きてきた人には、平凡で長くて“つまらない”ドラマだと感じるかもしれません。“社会をなめている”とローリーに対してムカつくこともあるでしょう。でもそれは、現実味がありすぎたからかもしれないなと思いました。

『レディ・バード』のような母娘の対立や思春期の心の動きを、もう少し穏やかに映し出しているのがこの「ギルモア・ガールズ」です。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

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