好きな映画について「『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』です」と答える人は、多いような気がする。
筆者も映画館でこの映画を観た当時、美容院でヒロインの写真を見せて、パーマを当てたボブヘアにした記憶がある。高校卒業時にあったプロムでは、彼女に寄せて真っ赤なものを着た。
『アバウト・タイム』は21歳になり、父からタイムスリップ能力を持っていることを聞かされた主人公ティム(ドーナル・グリーソン)が、真実の愛を手に入れるために奮闘する姿を描いた物語。ある日レストランで出会ったメアリー(レイチェル・マクアダムス)と両想いになるために、タイムスリップを使って色々なアプローチを試したティムは、ついに彼女と付き合い、結婚することになる。
筆者は結婚式を行う式場からBGMリストを渡された。必ずその中から選ばなければならないわけではないが、そこにはこの映画のサウンドトラックも含まれていて、それほど理想の結婚式として挙げる新郎新婦が多いのだろうと思った。
そこで今回は、『アバウト・タイム』の結婚式シーンを振り返ってみたい。
【BGM】入場時の音楽は「イル・モンド」
先ほどもお伝え通り、筆者は現在結婚式の準備をしており、様々なことと並行してBGMを考えている。何かヒントになれば、と再び『アバウト・タイム』を観始めたわけだが、2人の結婚式の入場曲がジミー・フォンタナの「イル・モンド」で、ふざけながら、観客の笑いも誘いながら登場していたことに驚いた。しっとり系で感動する音楽を……と思っていたからこそ、こういうのもありなのか!と面を食らったと言えばいいだろうか。(なかなか壮大で、情熱的で、歩きにくそうな曲である。)
この音楽はティムの父が「すごいだろ!」と、息子に自慢していたレコードに収録されている。「イルモンド」とはイタリア語で「世界」という意味。「君なしでも世界は回り続ける」ということ歌っているらしい。実に切なく情緒的で、時を描いたこの映画にもぴったりな楽曲だ。結婚式には向いていないかもしれないが、父のお気に入りの曲を教会に大音量で響かせるという、粋なプレゼントだったと言えるだろう。
他にもこの映画に登場する曲で有名なのは「How Long Will I Love You」だ。地下鉄構内で忙しくも幸せそうに走り回るティムとメアリー。そんな彼らの日常に溶け込むように演奏される。まるで結婚式での誓いのように、できる限り愛し続けるという気持ちを綴った楽曲で、こちらもしんみりくる。
『マンマ・ミーア!』『トワイライト』など感動的な楽曲が流れる作品が多すぎて、筆者はまだどのBGMにしようか迷い中だ。
【パーティー会場】大雨でめちゃくちゃ……
そうして「イル・モンド」が流れる挙式の後、彼らは少し離れたところにあるパーティー会場へと向かう。しかし外はとんでもない強風と大雨。びしょ濡れで、ベールもスカートもあっちこっちに飛んでいきそうになりながら、なんとか全員が会場に到着する。
そこは景色の良い丘の上に作られた大きなテント。中にはカラフルな飾り付けがされていて、ポップなカップケーキも置いてある。……と思ったのもつかぬ間、テントは崩壊。そんな中でも楽し気に、みんな屋内へと移動していく。
本当に一瞬のシーンではあるが、机も椅子も統一せずにカラフルにして、真ん中にお花を置くようなシンプルさが目を引いた。(↑メイキング動画に少しだがテント内の様子が映っている!)
屋外で式やパーティーを行う場合「大雨になったらどうしよう?」という懸念はぬぐえないが、この映画に出てくる人たちのような気概で、雨になったら屋外で楽しめばいい!という気持ちを忘れないでいたい。
【祝辞】誰に頼む?感動の父スピーチは必見
雨が降ったため、屋内でスタートしたパーティー。ティムは最初、同僚のローリー(ジョシュア・マクガイア)にスピーチを頼んでいたがその内容によって会場が失笑に包まれたため、その他2人に頼むがこちらも失敗。結果的に自分の父親に頼むことになる。
完璧なスピーチだったが、「愛してる」を言い忘れたと、父親自身が過去に戻りそのスピーチをやり直すことにする。
しかし現実ではスピーチをやり直すことはできない。故に誰に頼むかは非常に悩みどころだ。日本の披露宴では、両家の父親もしくは新郎の父親がスピーチするのはマストだということを、筆者自身も準備をしながら知った。
このシーンは、恋愛だけでなく、親との別れと人生を描く本作にとってハイライトとも言えるシーンだ。最後に、ここにそのスピーチの日本語訳を一部書き起こしておきたい。
結婚するカップルに1つだけ忠告したい
人生は結局同じなんだ
年を取り同じ話を繰り返す
でも誰かと結婚してほしい
優しい人と
息子は優しい男だ
心が温かい
私は人生において誇れるものは多くないが
心から誇れるのは
彼の父親であることだ
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筆者自身が結婚式に向けて観た映画の中で、参考にしたいと思ったシチュエーションやドレス、注意した方が良さそうな点などをまとめみた。